11/ アジアで最後にしましょう(5の5@大英博物館展Singapore)

Singaporeから見たアジア

rdS/ radio downtown Singaporeは 1/ Raffles’ Landing Siteのラッフルズ像から始まりました。Sir Thomas Stamford RafflesがSingaporeに上陸して、現在につながる近代シンガポールが始まりました。1819年の事です。ここには彼のコレクションが展示されています。

マレー半島からスマトラ、ジャワ、ボルネオ(現在のマレーシア、インドネシア、ブルネイ)にかけての地域は幾つかの強力な国家が存在しましたが、それらに影響を与えた大国というと、、、実は中国ではなくインドでした。宗教・文化的にはヒンドゥー・ブディズム(ヒンドゥー教と仏教の両方)の影響を色濃く受けてきた地域です。この地域がイスラム化するのは後の時代になります。

16. AD 1814 ボロブドゥール寺院(絵画 Sir Thomas Stamford Raffles Collection)     General view of the temple at Borobudur

ジャワ島中央部にあるボロブドゥール寺院は世界でも有数の仏教寺院(跡)です。階段状ピラミッドでAD 8c-9cに建てられ、16cに放棄されたものでした。それを再び発見したのがラッフルズ卿で、歴史的な大発見と言われています。

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17. 1c BC 仏足石 Stone plaque depicting the buddhapada

釈迦牟尼/シャカムニ(お釈迦様ですね)の足ですが、それ以外(つまりくるぶしから頭まで)はそこにいっらしゃるという暗示のみで決して全体は描きませんでした。それは釈迦がそれを望まなかったからだと言われています。

IMG_0797足の裏に法輪(輪)や卍が見えます

18. AD 100-200 仏陀/ブッダの立像 Standing figure of the Buddha

上の仏足石などで満足できなくなったのでしょう。紀元1世紀頃から仏像が作られるようになり現在に至っています。インドの離れた2箇所、マトゥーラとガンダーラで同時期に製造が始まりました。写真はガンダーラのブッダ像です。ギリシャ文化の影響を強く受けています。その様な様式はヘレニズムと言われています。

IMG_0799背面には後光のさす様子が彫刻されています。

ハイライトの最後は日本からです。

19.  AD 500-550 須恵器 Sue ware vessel (左)

AD 5c-6c  埴輪 Haniwa

須恵器(左)の名前の由来は大阪の須恵村から採ったものだそうです。埴輪(右)は墓の副葬品です。イノシシの様です。

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以上駆け足でのハイライトでした〜 (ふ``〜)

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10/ 中東(5の4@大英博物館展Singapore)

ここをオリエントと言ってしまうとちょっと違う

古代オリエント文明と言えばチグリス川そしてユーフラテス、この二大大河の周辺地域を思い浮かべます。。。か? 実は、もっと広い地域の文明を指します。今言った古代メソポタミア文明だけでなく、古代エジプト文明やシリアなども含めて古代オリエント文明と呼びます。古代エジプトは 7/ アフリカ で触れましたので、今回はメソポタミアについての展示物を中心にご紹介します。

14. 700-600 BC アッシュールバニパル王図書館の粘土板 イラク北部

A tablet from King Ashurbanipal’s library

IMG_0825楔形文字で書かれています

膨大な粘土板が発見されています。「アッシュールバニパルの図書館」と現在呼ばれているもので、人類史上初の本格的図書館と言われるものです。

15.くさび型文字の展示はいっぱいあります。

左側は結構古いですね。1900-1800 BC イラク南部

右側は 810-800 BC イラク北部

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他にも広範囲でくさび型文字は発見されています。

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9/ ヨーロッパ (5の3@大英博物館展Singapore)

英国を含むヨーロッパ

この表現は妙かもしれませんが、自分は何人かの英国人と長期に渡りかなり親しくしていたのでこんな表現になってしまいました。と言うのは、彼らが「ヨーロッパでは〜」という時には英国は入っていないんですね。特に親しかったのはウェールズ人とインングランド人でしたが、二人ともよく「ヨーロッパではさ〜」みたいな表現をしていました。別の友人のスコットランド人はそれと同時に「イングランドでは〜」とも言ってましたが(笑)

脱線してしまいましたね。さてその英国からです。

10. AD 1150-1200頃  ルイス島のチェスの駒  Two chess pieces

これは“Lewis Chessmen/ ルイス・チェスマン”として知られるチェスの駒で、1831年にスコットランドで発見されたものです。映画『ハリー・ポッター/ 賢者の石』で登場しました。

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11. AD 125-130 ローマ皇帝ハドリアヌス   Bust of the emperor Hadrian

IMG_0772ローマ五賢帝の一人です。

12. 2世紀頃 サテュロスから逃れようとする妖精

Marble group of a nymph escaping from a satyr

IMG_1470これは何でしょうね?

13. 1300-1200 BC  キクラデスの女性像  Figure of a pregnant woman

IMG_0779エーゲ海キクラデス文明の女性像です

 

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8/ アメリカ(5の2@大英博物館展Singapore)

マヤとアステカ

中南米の文明は以外とごっちゃになっている人が多いんですが。代表的なものにインカ、マヤ、アステカがあります。ティオティワカンさらにオルメカとなると聞いたことないなぁと言われそうですね。アメリカ(南北アメリカのこと)文明・文化は好きな人はとても好き、何回も旅行・調査に行ったり、中には移住してしまう人もいます。しかし大方の人たちには漠然としたイメージは持っているけどよく知らない文明かもしれません。・・・インカだけ南米ペルーの文明、他は中米の文明

マヤ文明はメキシコ南部からグアテマラ、ホンヂューラス、ベリーズなどにまたがる都市国家群です。際立った特徴があります。それは、中央の権力が存在せず有力な都市とそれに従う小都市という構造が最後まで続いた事でしょう。また鉄器を持たず非常に高度な石の文化を築き、天文学、数学などが発達した歴史を持っています。

アステカ文明は現在のメキシコシティに栄えた文明ですが、マヤよりは時代は後になります。マヤと似ているのは石器の文明であり、鉄器はなく青銅器も道具よりは装飾品であったことです。大きな違いは中央集権体制であったことです。

6. AD 755 マヤのリンテル Lintel showing a Maya ruler

現在のメキシコとグアテマラの国境にあるヤシュチュラン遺跡。強力な王で会った”Bird jaguar Ⅳ/ 鳥ジャガー4世”時代のリンテルがあります。リンテル/ lintelとは古代の建築物で2本支柱が立ったいるものの上に水平に置かれた石があるんですが、その石の事をリンテルと言います。IMG_0601向かって右の像が鳥ジャガー王です。

自分がこれをハイライトとして取り上げる理由はこのリンテルの持つ価値だけではなく、実はこのヤシュチュラン遺跡の現在の調査発掘チームの責任者(つまり団長)が10代の頃からの親友だからです。このリンテルについても多くの事を教わりました。

7. AD776 マヤの都市国家コパンの創始者像 Portrait head

都市国家Copanの創始者K’inich Yax K’uk’ Mo’の像

IMG_0623彼の死から350年ほど後に掘られた像

8. AD1400-1521の頃 アステカの神の面  Deity mask

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9. AD1400-1521の頃 石の箱 Stone box

実はこれは箱の一部なんですが、描かれているのはアステカの雨の神トラロック

IMG_0615ツボから水を流しているの見えますか?

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7/ アフリカ(5の1@大英博物館展Singapore)

まずはざあっと観ていきましょう

5回に渡ってハイライトをお送りします。これはという物を選んで簡単に紹介していきます。(詳しく、じっくり観察した記事はいずれUpします)・・・rds/Radio Downtown SingaporeではMuseums以外の話題も取り上げたいので、まずはハイライトをお送りしますね。

誰もがこれは外せないだろうというものと個人的に外せないものを入り口から時計回りに紹介していきましょう。

1.    80万年前の石斧 Stone hand axe

アフリカ、タンザニアのオルドヴァイ渓谷で発見され、『オルドヴァイ石器』として知られています。旧石器時代のもので動物の皮をはぐなどに使われていたと考えられておりその材質は石英で極めて硬質のものです。

IMG_0539左右対称が美しい

2.    1350BC  女神セクメトの坐像 Seated stature of the goddess Sekhmet

エジプト第18王朝アメンホテプ3世〜4世の時代のものと考えられています。当時テーベで700体以上作られ、その後多くはカルナック神殿に移され、これはそこで発見されたものと言われています。「セクメト」とは “she who is powerful” の意味で” 殺戮の女神”として知られています。

IMG_0548獅子の頭を持った女性

3.   AD 100-120  少年のミイラ Mummy of an adolescent boy

エジプトがローマの属国になっていた時代、ミイラとなった少年の生前の肖像画をこのように描くことはローマ風であったそうです。左奥に見える4つのツボが遺体から臓器(肺、胃、腸、肝臓)を取り出して保管しておくものです。

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4.   950−900BC 不幸のミイラ/呪いのミイラ Mummy-board

“Unlucky mummy” とも呼ばれるこのミイラ板にはいろいろと曰くがあり、所有者に災いをもたらすと言われています。例えば、1912年、かのタイタニック号の処女航海にこのミイラ板が積まれていて氷河との衝突事故を引き起こしたとか。。。実際に積まれていたという記録はありません。。

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5.   1069−945 BC 死者の書  Book of the Dead papyrus

死後に太陽神ラーの前でひざまづいている場面。死後に永遠の命を手に入れるために必要とされる多くの呪文が書き込まれたパピルス紙です。

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今回はここまで。ここまででもかなり気分は盛り上がってきました〜

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6/ 大英博物館展/BM展 入ると大きなパネルが

この展示会と大英博物館とは何か?

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何しろ展示数が多いので、担当ガイドによって流れはまったく違います。二百数十点の中から何を選んで、どういう組み立てで説明するかはガイド個人に委ねられていますので参加してのお楽しみということになります。自分も他のガイドの人の話を聴きに行きますが、その人らしさを感じると「お〜なるほど」と思います。

さ〜入り口ゲートを通過。ちょっと抑えめの照明。期待が膨らみますね。まずはBritish Museumやこの大英博物館展についての概要が大きなパネルになっています。大きく書いてありますね “Treasures of the World” 世界の至宝展にようこそ!

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その下に(小さくてよく見えないでしょうが)

“Treasures of the World brings together over 200 exceptional objects from the collection of the British Museum.” の一文で始まります。“the collection of~”の部分には素直に受け取れない人も確かにいます。本来の場所でないロンドンになぜあるんだ、返還せよ!という声も少なからずあります。自分の親友には考古学者、それも世界的な研究者となった者もいます。彼(もしくは彼の周りの研究者)はイギリスから持ち去られたことを良しとしない感情を持っているようです。その声に多くの理があることを認めた上であえて言うと、物によっては一箇所にまとめておいたので風化や破壊を免れたものが多くあった、つまり結果的に原形をとどめることができたという側面も大きいのではないでしょうか?

「博物館で展示物を観る」ことでその時代や当時の人々の様子が分かるかというとそう簡単なことではありません。いくつかの発掘現場に立ち会いましたが、掘り出した後に研究者たち(自分の友人も含めて)がその場で腕組みして議論してるのを何回か見ました。「何が分かったんだい?」と聞いてみると友人は「さっぱり判らいのでみんなで考えている」・・・何と翌日、掘り出したものを再び埋めていました。考える間保存しておくとのことでした。 そうなんだ、、なるほど。

考古学的に整理されたものが展示されているのが博物館です、確かに。しかし、博物館を一周して多くのものを見たが印象に残らなかった、そんな経験はありませんか? 自分はあります。人の気にならないところに興味を持つ性分なので、展示を前にして「・・・・・何、これは・・・・・?」と考え込むことしきり。

で、結局よくわからないんですね。笑

何が足りなかったかというと次の2点でした。

①予習・・・これは展示物について予習ではなくもっと大きな流れ、世界史的な動きを知っておくべきだったということです。

②じっくり考える・・・①の中でここの展示物が持つ意味(もしくは無意味)を自分なりに納得する

このパネルにはこんなことが書いてあります。

“Each and every object here tells a story – sometimes, more than one – about the society that created and used it.”

特に “tell a story – sometimes, more than one” の部分は自分も多いにうなづくところです。

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5/ NMS新館は開放的な空間

旧館と新館のつなぎ目に注目

IMG_5754右手は旧館/左は新館の高い天井

この作りは絶妙です。天井は完全に旧館と密着していますので外気は入ってきません。つまりエアコンが効いている(これはここでは重要)。それでいてあたかも外から旧館の建物を眺めているような設計です。新館に入ったところで、ちょっと立ち止まって振り返ってください。旧館の建物を楽しむポイントでもあるんですね。

すぐ横には館内のカフェ兼レストランがあります。

IMG_5755新旧両館館を眺めながらのランチ

自分にとっては、ガイドを終えた後で一休みしていく場所です。

これからしばらく特別展 “TREASURES OF THE WORLD/ 世界の至宝展”・・・大英博物館からの数々の貴重なものが200点以上展示されています。つまり大英博物館展ですね、ガイド仲間では BM (British Museum) と略しています。

IMG_5759特別展会場へ下るエスカレータ

このサインの横には次のようなものも

IMG_5758ファミリー対象のガイドツアー

一番上に “~by Friends of the Museums が見えますか? これは FOMと略されますが、このFOMが私の所属している団体です。

Spend an exciting morning with your children among ancient artefacts from the British Museum!”    大英博物館展所蔵の人類の手になる古代の品々に囲まれ、家族一緒に素晴らしい朝を過ごそう〜  みたいなことが書いてあります。

う? と思ったのは “artefacts” ですが、これBritish Englishですね、きっと。意味は「工芸品、芸術品」つまり天然のものではなく人の手が加わったものですが。自分の中で馴染みのあるのは “artifacts” だったので、一瞬 う? と思ってしまったんんですが 英語 ( e )か米語 ( i )という違いだけですね。やはり英連邦加盟国ですね〜ここは。

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4/ ドームには50枚の美しいステンドグラス

NMSのホールに入ったら天井を見上げてください

National Museum of Singaporeと書いてあります。ここが入り口正面、上にドームが見えますね。

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入ってドームを見上げると・・・・

円形に並ぶ美しいステンドグラスは50枚。なぜでしょうか?

この建物はヴィクトリア女王在位50周年記念にオープンした(1887年ものだからです。

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ステンドグラスは Stained glass ですから、発音はむしろ「ステインどぅ」ですが、”Stain/しみ” から “Stained/ 染められた” ガラス、つまり「着色ガラス」となるわけですね。着色といってもガラスを作る工程で金属の酸化物を混ぜて色ガラスを作るそうです。

さて、ここはチケット売り場になっているのでそこでチケットを手に入れます。常設展の他に特別展を開催している時期はどのギャラリー(展示会場)を見るかによって料金が違いますのでよく確認してからチケットを購入しましょう。学生やシニアの割引は日本人でも受けられますので証明書を用意しておいてくださいね。

IMG_5739右奥がチケット売り場

このドームを抜けるとすぐ階段があります。登ってもいいんですが・・・

IMG_5779これが旧館のメイン階段。。。

多くの人は階段の左右の狭い通路からさらに奥に進みます。常設展はこの奥の新館にあるんですよ。これは旧館の構造を保存するためで、結果なんか不思議なレイアウトになってしまいました。(これ上がっても展示はあるんですよ〜でもその前にまず常設展や特別展を見た方がよいでしょう)

途中左手に小さな中庭があり、CafeとBarになっています。

IMG_5777結婚式の撮影に使われる場所

この先はMuseum Shop、ここまでが旧館です。

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さあ〜ここを抜けて新館に入りましょう。

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